サブプライム問題と選挙結果、市場への影響を日銀は見極めへ
夏場の利上げを視野に入れている日銀にとって、米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン) に端を発した金融市場の不安定化と参院選での自民党の大敗は、マーケットを不安定化させる要因として無視できない存在になっている。8月の金融政策決定会合まで3週間あまり、日銀は国内株価が下げ止まるかどうかや、サブプライム問題の米経済への波及がぎりぎりまで見極める姿勢だ。
週明けの金融市場は、サブプライムローン問題や選挙結果で株価が下落し、ドル/円も118円台とやや円高に振れて推移。
マーケットに比べると不安定な状況になっている。日銀内ではこれまで比較的冷静な反応が多かったが、週明けには「不安心理がどの程度広がるか目が離せない状況」といった声が出いる。選挙結果について日銀では、与党の獲得議席が過半数を大幅に下回り、今後は日常的な業務や調整について、野党の理解を深める必要性がいると認識している。
基本的には、安倍晋三首相が続投することから、成長路線を基本とした経済政策は変わらないと見ており、金融政策への対応も変化は判断だ。
安倍首相が内閣と自民党三役人事を一新することに利上げに反対姿勢をみせてきた中川秀直幹事長が交代する展開が予想される。
後任の自民党三役にだれが起用されるのか不透明感が強いものの、日銀の金融政策の基本的なスタンスを説明して、理解をいく方針だ。
このケースなら金融政策決定会合時点で現内閣が続いている可能性が高く、マーケットに与える政治的リスクに神経質になる度合いも低くなりそうだ。
認識があるのも事実で、今回の選挙結果を受けて「政局の不安定化について、市場がどのように判断するかしばらくは見守りたい」との声が日銀内では多い。経済・物価情勢に関する各日銀政策委員の認識について、福井俊彦総裁が7月金融政策決会合後の会見で「後退しているというよりは、前進しているということだろう」と述べたが、その後も実体経済が悪化する兆候は経済指標にそれほど表れていない。
米国第2四半期の国内総生産(GDP)も3%台の成長を確保した。生産に関しては新潟県中越沖地震の影響で、7月が前月比マイナスになる可能性があるものの、生産停滞は一時的との判断だ。
幹部らは国内経済に特に不安材料はないとみている。消費者物価がマイナスで推移していることは、想定の範囲内との見方だ。
日銀にとって気がかりは、米国サブプライムローン問題の影響だ。
多くの幹部がおり、8月あるいは9月の金融政策決定会合までに市場の不安が払しょくされるような短期的な問題ではないと認識している。実体経済に深刻な影響が出ることは見極めさえつけば、利上げに踏み切れると見ている。
昨年5月や今年2月にも世界的に金融市場の調整があったものの、市場はそれを乗り切って再び上昇相場に復していることからみて「今回も市場が事態を見極めれば相場は底を打つだろう」といった楽観的な見通しも出ている。
米国株価は前週末に大幅に下落、東京市場も27日の400円近い下落に続き、週明け30日も一時、200円超の下落となっているため、日銀内では「相場が下げ止まるかを注視したい」との声も出いる。
日経平均が1万6000円台まで下がれば、見方を変える必要があるとの声も出いる。為替相場が足元で円高方向に振れていることも日銀にとって不安材料となっている。
為替相場そのものよりも、輸出企業の業績を懸念して株価の下落材料となるためだ。8月政策決定会合までの3週間、サブライムローン問題や政局の見通しを受けて金融市場の動揺が続けば、利上げの決定を延期し、さらに時間をかけて情勢を見極めることになる。
サブプライムローン問題に絡み米経済を見極めるため、米国の市場動向や経済指標を注視しながら「8月の決定会合ぎりぎりまで先行き見通しを点検していく」(野田審議委員)ことにとみられる。


