住宅金融支援機構
住宅ローン債権証券化し販売 国に頼らず手数料で利益
FujiSankei Business i. 2007/4/11 から
住宅金融公庫が4月1日に独立行政法人「住宅金融支援機構」として生まれ変わりました。同機構は、住宅金融公庫の業務を抜本的に見直し、民間金融機関の住宅ローンを買い取り、証券化して投資家に販売するなどの支援を主な業務としています。
島田精一理事長は業務開始に当たり2日に開かれた新しいシンボルマークの除幕式で、「新しい組織を一日も早く生産性、効率性、透明性の高い組織に作りかえていきたい」との抱負を語るとともに、主力商品である民間金融機関との提携住宅ローン「フラット35」の見直しを表明しました。
住宅金融公庫は、戦後の住宅不足の解消を目的に1950年、国土交通省と大蔵省(現・財務省)所管の特殊法人として発足しました。戦後に建てられた住宅の35%が公庫を利用したといわれており、「夢のマイホーム」の実現に大きな役割を果たしてきました。一方で、2000年度の決算では貸付金残高が約76兆円に上り、政府系金融機関の中でも突出した存在になりました。
このため、肥大化による民業圧迫の批判が噴出。また、毎年4000億円を超える補助金が国から支出されていたため、財政再建の観点からも、廃止や民営化を求める声が高まり、特殊法人改革に取り組んでいた小泉純一郎内閣時代の01年に民営化が決まりました。
07年4月の民営化の1年前には、三井物産副社長や日本ユニシス社長を歴任した島田精一氏が総裁(現在は理事長)に就任。島田総裁は民間での経験を生かし、公庫の民営化準備を進めてきました。
衣替えした支援機構は、民間金融機関の住宅ローン債権を証券化し投資家に販売することで、民間金融機関の貸し倒れリスクを軽減。その分、金利を低く設定できるようにする「証券化支援」を主な業務としています。従来の直接融資から証券化支援業務にシフトすることにより、国からの補給金に頼らず、証券化の手数料収入で利益を出す自立した組織への脱皮を目指しています。
証券化支援には、「買い取り型」と「保証型」の2種類があります。買い取り型は、民間金融機関の長期固定ローン債権を買い取り、信託銀行に信託した債権を担保とした資産担保証券を発行し、投資家に販売する仕組みです。
また、保証型は住宅ローン債権に機構が保険をかけ、民間金融機関の債権回収と投資家への元利払いを保証した上で証券化して販売します。
証券化支援の中心となる商品が提携住宅ローンの「フラット35」です。この商品は、機構の証券化支援により、民間単独では実現が難しい長期固定金利の住宅ローンの提供を可能にしたのが特徴です。
島田理事長は、採算を確保し機構が自立するには、フラット35の利用者を累積で50万件、10兆円に拡大する必要があるとしています。このため、今夏にも最長20年でローンを組むと金利が割安になる住宅ローンを導入するなど、商品の見直しを図る考えです。
このほか、機構では、民間では実施が困難な災害復興関連の融資のほか、社会的な要請が高まっている都市居住再生や高齢者・子育て世帯向け賃貸住宅などの融資も行う方針です。
島田理事長は、機構の存在感をアピールする施策を次々に打ち出していますが、収益を上げ、自立した組織に生まれ変わることができるのか、手腕が問われるのは、これからだといえそうです。(那須慎一)


