仕組み預金の説明義務強化
FujiSankei Business i. 2007/4/4
http://www.business-i.jp/news/for-page/naruhodo/200704040003o.nwc から
金融庁は、元本割れの恐れがある「仕組み預金」と呼ばれるリスク性預金商品を販売する際に、顧客にリスクを書面で説明するよう求める新ルールを導入しました。3月30日付で大手銀行や地域金融機関に対する監督指針を改正し、仕組み預金に対する金融機関の説明義務を強化したものです。その狙いはどこにあるのでしょうか。
説明義務強化のきっかけとなったのは、3月28日に公正取引委員会が新生銀行に対して仕組み預金の広告チラシに不当表示があったとして排除命令を出したことです。公取委が実態より有利に見せかける表示を行う景品表示法違反で銀行に排除命令を出したのは、今回が初めてです。
問題となったのは、新生銀が昨年8〜10月に店舗で配布した3年満期の定期預金「パワード定期プラス」の広告チラシです。これは高度な金融技術を駆使した金融商品で、為替の動向に応じて、元本を円や米ドルで受け取るものです。
預け入れ時に基準となる為替レートが設定され、満期時の為替レートが基準レートよりも円安に振れた場合は元本を円のまま受け取り、円高の場合は、基準レートで両替された米ドルを受け取る仕組みです。円高になると、受け取ったドルを円換算にすると為替差損が生じ元本割れする恐れがあります。
パワード定期プラスは預金する際に、「預け入れ時の為替レートと同じ」「5円円高」「7円50銭円高」「10円円高」など4種類の中から基準レートを選び、基準レートごとに設定された利息がつきます。
問題となったチラシには最も高い「3・19%」という金利しか表示していませんでした。ほかの3つの基準レートを選んだ場合に適用される低い金利を表示しなかったため、公取委が消費者が誤認すると判断したわけです。消費者は通常の定期預金より高い金利表示に目を奪われがちで元本割れ商品であるという認識のないまま預け入れる危険性もあります。
こうした高度な金融技術を用い、リスクはあるものの、その分、金利は高い預金商品などを「仕組み預金」と呼んでいます。仕組み預金は、預金者が商品性をよく理解しないで購入しているケースが多く、金融庁に寄せられる苦情件数も増える傾向にあります。
金融庁の五味広文長官は、新生銀の不当表示が発覚し、公取委が排除命令を出す前から、「顧客に誤認されるような広告表示で公取委から排除命令を受けるというような事態になったら誠に遺憾。顧客保護、利用者利便という観点も含めて適切な監督上の措置をとる」と述べてきました。今回の説明義務の強化はこの発言を踏まえたものです。
銀行の不当表示をめぐっては、昨年8月にも住宅ローンのチラシでみずほ銀行に対して公取委が警告を出しました。
五味長官は、「内容が誤認されることがないよう正確でかつ分かりやすい表示に努めていただくことが大切だ」と語り、各金融機関に広告の出し方を改めて見直すよう求めています。
政府は、国民に対し、「貯蓄から投資へ」と呼びかけています。ただ、投資には元本割れのリスクがつきものです。日本では金融教育が遅れていることもあり、消費者が十分な金融知識を持っているとはいえない状況です。投資の大原則である自己責任を消費者に問ううえでも、公正でわかりやすい広告が求められているといえそうです。


